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ユーザビリティ入門:システムの「使いやすさ」を定義から考えてみる。

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Ryuya Fujita
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サムネイル「ユーザビリティ入門 システムの「使いやすさ」を定義から考えてみる。」

こんにちは。willstyle .Uでディレクターをしている藤田です。

2026年2月から、ウィルスタイルで行っているWEB事業に加え、このUI/UX事業にも参画することになりました。現在、UI/UX分野についての知識を深めているところです。今後、自身が日々学んでいることのアウトプットも兼ねて、UI/UXに関する記事を執筆していきます。よろしくお願いします。

さて、記念すべき1本目、本日のテーマは「ユーザビリティ」です。みなさんもどこかで耳にされたことがあるのではないでしょうか。中でも今回は、業務システムにおける「ユーザビリティ」の定義について深堀りしてみたいと思います。

この記事のゴール

業務システムにおける「ユーザビリティ」の概念について、定義とともに理解できる。

そもそもよく聞く「ユーザビリティ」って?

ユーザビリティ(英:Usability)を平たく言うと、「ユーザーにとっての使いやすさ」のことです。普段、何かのシステムやアプリを利用する中で、「なんだか使いづらいな」と感じたことはありませんか?そのような声の多く集まるシステムは、ユーザビリティが低く、改善の余地がある、と言えます。

そんなユーザビリティ、「使いやすさ」というのはわかったけど、具体的にどういうこと?という疑問に答えるべく、今回はユーザビリティの「定義」から、その内容を紐解いてみます。

ユーザビリティの定義

ユーザビリティには、大きく分けて以下の2種類の世界的な定義があります。

  • ニールセンの定義
  • ISO(国際標準化機構)における定義

ニールセンの定義

ウェブ・ユーザビリティの権威である ヤコブ・ニールセンが1993年に出版した「ユーザビリティエンジニアリング原論(原題:Usability Engineering)」で示される定義です。この定義では、ユーザビリティを以下の5要素から構成される概念としています。ここでは、製造業システムでの現場イメージとともにわかりやすくお伝えします。

ニールセンの定義
  • 学習しやすさ
  • 効率性
  • 記憶しやすさ
  • エラー
  • 主観的満足度

学習のしやすさ

システムは、ユーザがそれを使ってすぐ作業を始められるよう、簡単に学習できるようにしなければならない

現場でのイメージ

現実の動作に近い直感的なインターフェースを実現することで、今日入ったばかりの派遣スタッフが、マニュアルを読み込まなくても操作を10分で覚えられる。

効率性

システムは、一度ユーザがそれについて学習すれば、後は高い生産性を上げられるよう、効率的な使用を可能にすべきである。

現場でのイメージ

ショートカットや最小限の画面遷移を実装することで、熟練工が、1日に数百回行うデータ入力を流れるように作業を完結できる。

記憶しやすさ

不定期利用のユーザがしばらく使わなくても、再び使うときに覚え直さないで使えるよう、覚えやすくしなければならない。

現場でのイメージ

メニュー位置を固定するように設計することで、3ヶ月ぶりに担当する工程のシステムに触れた際、「どこに何の設定項目があるか」を迷わずに思い出し、すぐに作業を再開できる。

エラー

システムはエラー発生率を低くし、ユーザがシステム使用中にエラーを起こしにくく、もしエラーが発生しても簡単に回復できるようにしなければならない。また、致命的なエラーが起こってはいけない。

現場でのイメージ

入力欄のバリデーション(入力値の制約)を設けることで、製品番号の入力ミスをシステムが未然に防ぐ。

主観的満足度

システムは、ユーザが個人的に満足できるよう、また好きになるよう楽しく利用できるようにしなければならない

現場でのイメージ

ボタンの反応速度を0.4秒以内に設定したり、処理中のアニメーションを追加することで、システムがきちんと自分の操作に追従している感覚を覚える。

ニールセンの定義で特徴的なのは、「ネガティブを少なくする」という観点でまとめられている点で、その特徴から、「スモール・ユーザビリティ(狭義のユーザビリティ)」とも呼ばれます。 まずはこの5つの観点から、普段お使いのシステムのユーザビリティを考えてみてはいかがでしょうか。

ISO(国際標準化機構)における定義

ISOとは、国際標準化機構(International Organization for Standardization)の略称であり、 この組織が定めた規格を「ISO規格」と呼びます。ISOは、製品、サービス、プロセス、材料、システムに関する国際規格を制定していますが、その中にはソフトウェアのインタラクションに関する規格も多く存在しています。ユーザビリティに関しては、視覚表示装置(VDTs)を用いたオフィス作業に対する人間工学的要求事項を取り扱うISO 9241にて定められています。

ISO9241-11における定義

特にユーザビリティに関して言及されているのは、ISO9241-11で、以下のように定義されます。

ユーザビリティ

特定の利用状況において、特定のユーザによって、ある製品が、指定された目標を達成するために用いられる際の、有効さ、効率、ユーザの満足度の度合い。

有効さ

システムがどれだけ正確に目的を達成できるか。つまり、ユーザーが目標を達成するために必要な結果が得られるかどうかを示す。

現場でのイメージ

複雑な配合入力において、1ミリグラムの桁間違いも許されず、正確にシステムに登録できること。

効率

ユーザーが目標を達成するために必要とするリソース(時間、労力など)の最小化。効率的にタスクを完了できるかが重要。

現場でのイメージ

1回の検品登録にかかる時間を5秒から2秒に短縮し、1日の総作業時間を大幅に削ること

満足度

システムを使用したユーザーがどれだけ満足しているか。満足度は使い勝手や心理的な快適さにも関係する。

現場でのイメージ

小さい文字に目を凝らしたり、何度もスクロールしたりする苦痛がないこと。

前述のニールセンの定義に比べ、粒度は荒いものの、ポジティブな面を含んだ幅広いものになっていることがわかります。

ニールセンの定義が「インターフェースがどうあるべきか」という製品の特性に焦点を当てているのに対し、ISO 9241-11の定義で最も重要なのは、冒頭にある「特定の利用状況において」という前提条件です。

つまり、ISOの定義では、「誰が、どんな状況で使うかによって、使いやすさの正解は変わる」と言っているのです。これを「ビッグ・ユーザビリティ(広義のユーザビリティ)」と呼ぶこともあります。

まとめ:業務システムにおける「使いやすさ」とは?

ここまで、ユーザビリティに関する2つの定義を見てきました。

ニールセンの定義: 「使いにくい」をなくすための、システムの基礎体力(学習しやすさ、エラーの少なさ等)。

ISOの定義: 「特定の状況」で「特定のユーザー」が目的を達成できるかという、成果としての品質。

ウィルスタイルが取り組んでいるUI/UX事業、特に業務システムの領域では、単に「画面がきれい」「ボタンが押しやすい」だけでは不十分です。どんなユーザーが・どんな環境で・どんなタスクを実施したいのか。具体的な文脈の中で機能して初めて、「ユーザビリティが高い」と言えます。

今回の記事で、ユーザビリティという言葉が持つ「深さ」を少しでも感じていただけたなら幸いです。

今後も引き続きUI/UXに関する情報をお届けしますので、次回もお楽しみに!