トグルスイッチとチェックボックスの使い分けについて整理してみた


こんにちは。willstyle .Uのディレクター、藤田です。
システム開発において、「バグがなく、要件を満たし、ロジックが正しいこと」は当然の正義です。しかし、どれだけ完璧なロジックを組み上げたシステムでも、ユーザーから「なんだか使いにくい」「古臭くて触る気が起きない」と一蹴されてしまった経験はありませんか?
実は、ユーザーがシステムを「使いやすい」と判断する基準は、私たちが思っている以上に「見た目」に支配されています。今回は、心理学的な概念である「美的ユーザビリティ効果」についてお話しします。
この記事のゴール
「美的ユーザビリティ」の概念について理解できる
システムの画面デザインが優れていると、ユーザーは機能的な問題点を見過ごしたり、許容したりするようになります。これは「美的ユーザビリティ効果」と呼ばれています。
例えば、外見が抜群にスタイリッシュな家電。多少ボタンが押しにくかったり、多機能ではなかったりしても、「このデザインだから仕方ないか」「使っていて気分がいいからOK」と納得してしまいませんか?
もっと身近な例で言えば、「いつも愛想が良く、清潔感のある人」。その人が多少のミスをしても、「まあ、あの人なら仕方ないな」と許せてしまう心理に近いかもしれません。
画面のビジュアルが美しいと、ユーザーは「このシステムはきっと優れているはずだ」というポジティブなバイアスを持ちます。つまり、見た目の美しさは、システムのUXの評価に決定的な役割を果たすということです。

以前の記事でご紹介したヤコブ・ニールセンによるユーザビリティの定義を見てみると、「主観的満足度(Satisfaction)」が含まれていることがわかります。この「主観的満足度」は美的ユーザビリティと密接に関わる部分であり、パッと見の「いい感じ」が、ユーザーの心理的なハードルを下げ、結果として製品の評価を上げることになります。
- 学習しやすさ: すぐに使い始められるか
- 効率性: 慣れたら素早く操作できるか
- 記憶しやすさ: 久しぶりに使っても迷わないか
- エラー: ミスをしにくいか、回復できるか
- 主観的満足度: 使うのが楽しく、満足できるか学習しやすさ
誰のためのデザイン?でおなじみの認知科学者のドナルド・ノーマンは、2004年の著書『エモーショナル・デザイン』の中で、さらに踏み込んだ指摘をしています。
「美しいものは、より良く機能する(Attractive things work better)」
人間は美しいものを見るとリラックスし、脳が活性化されます。リラックスした状態では、多少の操作ミスや不明点があっても、ユーザーは自力で解決策を見つけやすくなります。逆に、冷たくて不格好なインターフェースはユーザーを不安や緊張に陥れ、思考を狭めてしまいます。 美しさは、単なる飾りではなく、システムを機能させるための潤滑油になっていると言えるかもしれませんね。
美的ユーザビリティを体感するための極端な例として、簡単なお問い合わせフォームの画面を作ってみました。Form1とForm2では、どちらが使いやすそうでしょうか。


一見、圧倒的にForm2が「いいUIだ」と感じそうです。しかし、先程のFormに戻って実際に送信するつもりでじっくり見てみてください。するといかがでしょうか。Form1はスムーズに送信まで進める一方、Form2では入力の途中で迷ったり、手が止まったりするなど、ユーザビリティはかなり低いことがわかります。
あまりに極端な例でしたが、見た目の美しさが「使いやすさ」の印象に大きな影響を及ぼすことをご理解いただけたと思います。
とはいえ、この美的ユーザビリティも、いいことばかりではありません。
見た目の第一印象が素晴らしいと、ユーザーのシステムに対する期待値はぐんぐんと上がります。しかし、いざ使ってみて後から操作に難しさを覚えてしまうと、その期待は一気に「裏切られた」という強い不満に変わってしまうこともあります。その結果、トータルのUXは低くなってしまいかねません。
また、システムを使用したユーザーからのフィードバックにも、美的ユーザビリティによる悪影響が起こり得ます。例えばプロトタイプを作成したタイミングで、システムの使いやすさを調査する時を想定しましょう。ユーザーは機能としての使いやすさについて聞かれているのにもかかわらず、画面の美しさに引っ張られ、思わず良い評価を下してしまうことで、機能的な問題が見つかりにくくなってしまいます。
魅力的なインターフェースがシステムの多少の使いにくさを隠してくれるなら、それは開発チームにとってはありがたい話です。一方、ユーザーリサーチにおいては、問題点を見つけて修正することが目的であるため、美的ユーザビリティ効果がかえって邪魔になることがあります。
これまで見てきた「美的ユーザビリティ」を翻って考えてみると、どれだけ堅牢なバックエンドを構築し完璧なDB設計を行っても、インターフェースが洗練されていないデザインである限り、その価値はユーザーにきちんと伝わらない、と言えます。
もしそう考えているとしたら、非常にもったいないです。仮に効果的な情報設計と最新技術でシステムを構築したとしても、機能的にはまずますでインターフェースの美しいシステムと比べた時、ユーザーは後者を選んでしまう傾向にあります。なぜなら、これまで見てきたように、人間は美しいもの=中身も優れていると信じてしまう生き物だからです。
私たちwillstyle.UはWebサイトの制作会社を母体とし、システムのUXを高めるDX支援事業に取り組んでいます。
多くのシステム会社様がロジック構築を得意とされている一方で、私たちは「インターフェースデザイン」と「心地よいフロントエンドの実装」を得意としています。
そんな課題をお持ちの方がいらっしゃいましたら、ぜひ一度お話をお聞かせください。
